4コマで「ゴラン高原」

2019年3月25日、アメリカのトランプ大統領がホワイトハウスでイスラエルの主権を認める宣言に署名したことが話題となった「ゴラン高原」。今回(2019年6月16日)イスラエル政府は、両国の国旗がついた看板を設置しました。そのゴラン高原について歴史上どのような整理がされてきたのかを4コマで振り返ります。

4コマで「ゴラン高原」

関連用語

ゴラン高原(ゴランこうげん)

シリア南西部の台地。シリアの軍事要塞があったが,1967年第3次中東戦争でイスラエルが占領した。シリアは全面返還を要求しているが,イスラエルは入植を強行,81年にはイスラエルの国内法を適用し,事実上併合した。しかし,この併合は国際社会では認められていない。現在の住民はユダヤ人とドルーズ派。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
●出典
用語:ゴラン高原(ゴランこうげん)

シリア・アラブ共和国(シリア・アラブきょうわこく)

首都はダマスクス。フランス(ヴィシー政権)委任統治だった1941年にイギリス,自由フランス軍により占領される。公式にはこの年に独立とされるが,実質的な独立は46年。その後,クーデタなど政情不安が続くが,58年にエジプトと合邦,アラブ連合共和国となる。61年に連合共和国を離脱後,63年クーデタでアラブ社会主義のバース党が政権を掌握。70年に宗教的少数派であるアラウィー派のハーフィズ・アサドが大統領に就任し,ムスリム同胞団に対する弾圧など独裁体制を築いた。同大統領没後は息子のバッシャールが跡を継ぐ。イスラエルにゴラン高原を占領されており,全面返還を求めている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
●出典
用語:シリア・アラブ共和国(シリア・アラブきょうわこく)

中東戦争(ちゅうとうせんそう)

①〔第1次〕1948年にイスラエルが独立宣言をしたことに反対し,アラブ諸国がパレスチナに進撃したことから始まる。イスラエルにとっては独立戦争,アラブ側はパレスチナ戦争と呼ぶ。アラブ‐イスラエル戦争とも呼ばれる。翌年休戦したが,これによってパレスチナの約80%がイスラエル領になり,パレスチナ難民が発生した。②〔第2次〕スエズ戦争ともいう。エジプトは1952年の革命後,経済的自立をめざしてアスワン・ハイダム計画などを推進していた。56年7月,アメリカが同ダム建設援助を撤回したことに対し,ナセル大統領はスエズ運河国有化を宣言した。運河の国際管理案で失敗した英仏はイスラエルの突然のエジプト侵攻(10月29日)に続いてスエズ地区に出兵した。国連緊急総会は即時停戦を決議し,ソ連は英仏にミサイルで報復すると警告するなど,国際世論に押されたイギリス,フランス,イスラエルはエジプト侵略を断念し,57年3月までに撤兵した。スエズ運河はエジプトの国有化のもとで運営されることになった。③〔第3次〕1967年6月イスラエルが電撃的にエジプト,シリアなどを攻撃,短期間でアラブ側を撃破した。イスラエルはこの戦争を六日戦争と呼び,アラブ側は六月戦争と呼ぶ。イスラエルはこれによりヨルダン川西岸,シナイ半島,ゴラン高原などを占領した。イスラエルの撤退を含む国連安保理決議242が採択される。④〔第4次〕エジプト,シリアが1973年,イスラエルに進軍して開戦,軍事的にはイスラエルの有利に終わる。アラブでは10月戦争,ラマダーン戦争と呼び,イスラエルではヨーム・キップール戦争と呼ぶ。同年末にアラブ産油国がイスラエル支持国に石油を売却しないという石油戦略を発動したため,世界中で石油危機が起こった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
●出典
用語:中東戦争(ちゅうとうせんそう)

イスラエル国(イスラエルこく)

Medinat Israel[ヘブライ],State of Israel[英] 1948年パレスチナに建国されたユダヤ人国家。19世紀中葉からのシオニズム運動を背景に,第一次世界大戦後パレスチナへのユダヤ人移民が増加,この地のアラブ系住民との間に紛争が生じた。第二次世界大戦後,パレスチナの委任統治国イギリスは,この問題を国際連合に提訴。1947年11月,国連総会はパレスチナ分割案を可決した。ユダヤ人,アラブ人双方の武装組織の間で戦闘が続くなか,翌年5月イギリス委任統治終了とともに,ユダヤ人側は分割案に沿ったイスラエル建国を宣言した。以後イスラエルは建国に反対するアラブ諸国との間にたび重なる戦争を経験したのち,79年にエジプトと条約(エジプト‐イスラエル平和条約)を締結,93年にはパレスチナ・アラブの代表機関PLOとの間にパレスチナ人自治をめぐる基本的合意(パレスチナ暫定自治協定)が成立し,暫定自治が開始された。翌年にはヨルダンとも平和条約が成立したが,その後パレスチナ人との和平交渉は行き詰まり,中東和平プロセスは難航している。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
●出典
用語:イスラエル国(イスラエルこく)

ヘブライ人(ヘブライじん)

Hebrews 通常イスラエル人の別名とみなされる。しかし原語イブリ(‘ibri)は「川の向こう側からきた者」を意味する遊牧民集団で,単一の民族とは限らず,アマルナ時代にエジプト支配下のカナーンを荒掠したハピル集団とも関連があるといわれる。後代では,イスラエルが主として民族の選民的な自覚による自称であるのに対して,ヘブライは世俗的な民族名として他民族により用いられる。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
●出典
用語:ヘブライ人(ヘブライじん)

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