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平安仏教(へいあんぶっきょう)

9世紀初頭の天台・真言両宗の開宗から12世紀後半の鎌倉新仏教成立前夜までの仏教。奈良末期の山林修行と俗化した南都仏教への批判とを土壌として形成され,天台・真言両新仏教が南都をも先導し,一方の担い手として民間の聖(ひじり)をしだいに多く輩出しつつ展開した。まず山林修行の系譜をひく実践的仏教として登場した新仏教は9世紀末までに態勢を確立し,将来した密教は護国行業で南都を凌駕するようになるが,一方で独自性の強調のゆえに宗派・寺院ごとに固まる排他性を仏教界にもちこんだ。10世紀以降は貴族仏教化が進み,数量功徳主義的な修法・念仏・仏事が流行し,宗派・寺院は門閥化・権門化した。この頃から末法思想が深刻化し,それにつれて民間の聖の活動が活発となった。11世紀後半からは既存宗派から離脱して時相応の行業をめざす者も現れ,鎌倉新仏教への道筋を用意することとなる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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