部(べ)

大化前代の支配組織。大和政権ないしそれに属する大王(おおきみ)一族や中央豪族の必要とする労力・技能・生産力を徴収する仕組みで,(1)職業部,(2)名代(なしろ)・子代(こしろ),(3)田部(たべ),(4)部曲(かきべ)などの種類があった。(1)は朝廷の必要とする特定の役務における固定的労働力や渡来系の技術による手工業品などを確保するためのもので,律令制下の品部(しなべ)・雑戸(ざっこ)に継承されていく。(2)のうち名代は王宮の経営のために設定されたもので,王宮にちなんだ部名がつけられ,舎人(とねり)・靫負(ゆげい)・膳夫(かしわで)などの伴(とも)が徴発され,部民はその資養物を貢納することになっていた。子代は大王家の子女の養育のために設定されたもので,王族にちなんだ部名がつけられ,壬生部(みぶべ)に相当するものと考えられる。(3)は朝廷の直轄地である屯倉(みやけ)の田の耕作の労力確保のため設定されたもの。(4)は中央豪族の経済基盤を維持するために設定されたもので,豪族の氏名を部名とした。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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