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稗田阿礼(ひえだのあれ)

生没 654?~? 7~8世紀の人。諸家に伝わる「帝紀」や「旧辞(きゅうじ)」を整理編修しようとした天武天皇は,舎人(とねり)であった阿礼に命じ,それらを「誦習」させたという。時に28歳。阿礼が選ばれたのは,生まれつき聡明で,どんな文もみればすぐに音読し,1度聞けば2度と忘れなかったためであった。したがって編修そのものにたずさわったわけではなかったと考えられる。天武天皇が没したため作業は完了しなかったが,711年(和銅4)元明天皇が太安麻呂(おおのやすまろ)に命じて阿礼の誦習の成果を撰録させ,翌年に「古事記」として完成した。稗田氏は天鈿女(あめのうずめ)命を祖とする猿女(さるめ)君氏の一族で,大和国添上郡稗田(現,奈良県大和郡山市稗田町)を本拠とした。阿礼を女性とする説があるが誤り。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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