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紀伊国(きいのくに)

南海道の国。現在の和歌山県全域と三重県南部。「延喜式」の等級は上国。「和名抄」では伊都(いと)・那賀・名草(なくさ)・海部(あま)・在田(ありだ)・日高・牟婁(むろ)の7郡からなる。もとは山がちな地勢から木国とよばれたが,のち好字を用いることで改名した。大化前代には豪族として,北部に紀伊国造,南部に熊野国造がいた。国府は名草郡(現,和歌山市),国分寺は那賀郡(現,紀の川市)におかれた。一宮は日前国懸(ひのくまくにかかす)神宮(現,和歌山市)。「和名抄」所載田数は7198町余。「延喜式」では調・中男作物として塩・各種海産物・紅花・胡麻油など。平安時代以降,高野山が多数の荘園を領有して勢力を誇り,熊野大社も貴族らの信仰をえて栄えた。守護は鎌倉初期には和泉国守護の兼任であったり,おかれなかったりしたが,以後も有力大名となる家はでなかった。江戸時代は御三家の一つ和歌山藩領として推移。5代藩主徳川吉宗は8代将軍となる。1869年(明治2)版籍奉還し,和歌山・田辺・新宮の3藩から,71年の廃藩置県の後,和歌山県となる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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