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久遠寺(くおんじ)

山梨県身延町にある日蓮宗総本山。身延山と号す。佐渡流罪から帰った日蓮が,1274年(文永11)檀越(だんおつ)の南部(波木井)実長の領地に隠棲のための草庵を構えたのが始まり。82年(弘安5)の日蓮没後はその廟所となり,高弟が順番で運営にあたったが,まもなくその体制がくずれ日興(にっこう)が常住する。実長との不和で日興が駿河国大石寺に去ると,日向(にこう)が継承した。11世日朝の時代に西谷から現在地に移転。以後,甲斐武田氏の庇護を得て発展した。近世初頭の不受不施をめぐる論争では受不施を唱え,江戸幕府の支持をうけて不受不施派を抑圧,日蓮教団の中心的存在となる。「報恩抄」はじめ日蓮の真蹟遺文多数を所蔵したが,1875年(明治8)火災で大半を失った。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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