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松前藩(まつまえはん)

福山藩とも。松前・蝦夷地(えぞち)を支配し,福山(現,北海道松前町)に陣屋をもつ外様小藩。檜山安藤(安東)氏の代官蠣崎(かきざき)(松前)慶広が,1593年(文禄2)豊臣秀吉に船役徴収権を,また1604年(慶長9)徳川家康からアイヌ交易の独占権を認められて成立。石高制の枠外にある無高の藩。1719年(享保4)1万石格。ロシアの南下に対する幕府の蝦夷地直轄政策によって,99年(寛政11)東蝦夷地が,1807年(文化4)松前・蝦夷地一円が上知され,陸奥国梁川(やながわ)9000石に減転封された。21年(文政4)復領。54年(安政元)城主格。幕末の箱館開港により,55年わずかな城付地を残して再び上知され,陸奥国伊達・出羽国村山の2郡に代知3万石を与えられた。上級家臣に知行としてアイヌ交易権を分与する商場(あきないば)知行制をとった。アイヌ民族との矛盾は,1669年(寛文9)のシャクシャインの戦,1789年のクナシリ・メナシの蜂起など,大規模な民族蜂起を招いた。藩校は徽典(きてん)館と明倫館(江戸藩邸内)。詰席は柳間。版籍奉還により館(たて)藩と改称。廃藩後は館県となる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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