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増鏡(ますかがみ)

中世の歴史物語。作者は不詳だが,二条良基(よしもと)とする説がある。1376年(永和2・天授2)以前の成立。1180年(治承4)の後鳥羽天皇の誕生から,1333年(元弘3)後醍醐天皇が隠岐から帰洛するまでの,天皇を中心とする優雅な貴族の歴史を編年体で描き,とくに後醍醐治世の時期に詳しい。嵯峨の清涼(せいりょう)寺で,筆者が80余歳の尼から聞いた昔物語を記すという体裁をとる。先行の日記・和歌集などを素材とし,文章をはじめ「源氏物語」の影響が強い。伝本は,17巻の古本系と,19または20巻の増補本系にわかれ,後者にも室町初期の古写本がある。「大鏡」などいわゆる四鏡(しきょう)最後の作品。「日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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