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蒔絵(まきえ)

漆で文様を描き,乾かないうちに金銀などの金属粉や色粉を蒔きつけて文様を表す方法。平安時代以降,日本で独自の発展を示し,以後,現代まで漆芸装飾の主流を占める。技術的にはつぎの三つに大別できる。(1)漆で文様を描き,粉を蒔きつけてからいったん乾かし,さらに漆を塗って木炭などで研ぎ出す研出蒔絵。最古の例は正倉院宝物の金銀鈿荘唐大刀(きんぎんでんそうからたち)。(2)粉を蒔きつけて,乾いてから文様の部分だけを磨く平(ひら)蒔絵。蒔絵のなかでは比較的簡単な方法で,安土桃山時代に始まった高台寺蒔絵で活用された。(3)炭粉や砥粉に漆を混ぜて文様の部分を盛りあげ,その上に粉を蒔きつけて磨く方法。漆芸の分野で立体的な表現を可能にしたものとして注目される。初期の例は三島大社蔵の梅蒔絵手箱(国宝)など。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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