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抜参り(ぬけまいり)

伊勢参りの形態の一つ。もとは一般の私幣が禁じられて参宮を許されなかった庶民がひそかにお参りすること。近世には経済的事情などで行動や旅行の自由を制限されていた人々が,その主人や村役人・親などの許しをえないまま,白衣を着て伊勢参りにでかけることをいった。「ぬけ」とは封建的な身分支配関係からの逸脱をも意味し,初期には抜参りは禁止・処罰の対象であった。しかし伊勢信仰が盛んになると,小僧の参宮を妨げた主人が神罰をうけたといった類の話が広く伝えられるようになり,抜参りをしてきた者に対しても坂迎(さかむかえ)をして祝う習俗がみられた。抜参りは,お蔭参り同様に乞食(こつじき)参りで参宮することが多く,彼らには沿道の人々や富商から金品の施行(せぎょう)が行われた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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