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抜荷(ぬけに)

江戸時代,幕府の貿易規制下の密貿易や藩専売制下の密売買など,正規の手続きによらない私的な取引およびその品物をいう。幕府の対外貿易における諸統制,すなわち輸出入禁制品,来航船の取引額や取引方法などの制限に対して,彼我商人の貿易欲求が抜荷を行わせた。とくに1685年(貞享2)唐船の定高(さだめだか)(年間取引額)を制限し,残り荷の積み戻しを命じて以降,密貿易が長崎とその近海で頻発した。そのため幕府は防止策として,89年(元禄2)唐人の市中雑居を禁じ唐人屋敷に収容して監視を厳重にし,また九州・中国・四国筋の諸大名に命じて海上での取締りを強化したが,幕末に至るまで後を絶たなかった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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