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歳役(さいえき)

正役(せいえき)とも。律令制での労役負担の一つ。養老令では,中央での造宮や造寺のため正丁(せいてい)が年に10日間食料自弁で労役に従事し,次丁は正丁の半分,中男(ちゅうなん)および京畿内では免除され,実役につかないときは庸(よう)として布で納めると規定する。さらに留役として,租・調を減免するかわりに30日間使役を延長することができ,本人のかわりに同郡の人を雇ったり,家人を遣わして代役をさせることもできるとする。しかし大宝令では歳役はすべて庸で納める規定で,実役の徴発はなく,造営などは雇役により行われた。養老令では唐制にならって形式的に歳役を規定するが,実際には庸で納められた。浄御原令において兵役や雑徭(ぞうよう)と並んで実役の役(えだち)が成立するが,大化前代のエダチ(役)の系統を引いたもので実役奉仕のみで代納制は存在しなかったらしい。なお706年(慶雲3)庸の半減にともない役夫の不足を補うために定められた百姓身役制は,かつてのエダチの制を部分的に継承したものと推測される。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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