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フェミニズム

feminism 女が女であることを根拠に強いられてきた差別や従属,拘束を問題にし,そこから離脱するために構築された思想とその思想にもとづく社会運動の総称。男女間の権利や機会の不均等,地位の格差や女を劣ったものとみなす思想は古くから存在したが,それらが改善されるべきものだと認識され始めるのは「法の前での万人の平等」を説く人権思想が生まれ,にもかかわらず近代の「市民」には成人男性しか含まれていなかったという矛盾が明瞭になってからのことである。大きなうねりとしては,まずはO.ド・グージュ(『女の権利宣言』1791年)やM.ウルストンクラフト(『女性の権利の擁護』92年)らの女の市民権確立要求があり,その延長上で19世紀中葉から20世紀初頭に盛んになった女性参政権運動(第1波フェミニズム)がある。第二次世界大戦後は多くの国で選挙権や被選挙権が認められるようになるが,制度的な平等が得られても性別役割分担や「女のあるべき姿」による拘束はなくならず,結婚や家族・子育てという日常性の内部に組み込まれてきた不平等が問題にされ,性と生殖の自己決定の必要性が求められた(第2波フェミニズム)。フェミニズムという言葉が日本で定着したのは1980年代以降のことである。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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