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文字(もじ)

視覚を利用して言語や意志を伝達する手段となるものが文字である。文字は音声言語に比べて伝える範囲を拡大できるし,より正確に伝えることができる。さらに時間的制約なしに伝達することが可能である。文字の前段階としてインカ族の間で使われた結縄(けつじょう)文字(キープ)がある。文字の最も古い形は絵文字であり,それから表意文字がつくられた。ついで表音文字が発明されたが,表音文字は音節文字と単音文字(音素文字,アルファベット)の2種類に分けられる。前者は古代バビロニアの楔形文字やミケーネの線状文字B,中国の漢字,日本の仮名などであり,後者はセム系文字である。しかしウガリトの楔形文字はじつはアルファベットであったし,古代ペルシアの楔形文字もアルファベット的な機能を有していた。漢字の起源としては,象形,指事,形声,会意,転注,仮借の6書があげられている。アルファベット以外の文字を用いる地方においては,表意文字と表音文字の両者がともに用いられている。セム系アルファベットは,一説にはエジプトの象形文字の系統をひく原カナーン文字あるいは原シナイ文字から発達したものであるともいわれている。なおソグド文字,ウイグル文字,モンゴル文字,グプタ文字,サンスクリット文字,チベット文字などもセム系文字の伝統を継承した文字である。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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