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唯識(ゆいしき)

大乗仏教の一大学派,唯識瑜伽行派(ゆいしきゆがぎょうは)の重要な教説。一切の存在はただ(唯)心のはたらき(識)のつくり出した表れにすぎず,真実にあるものではない(非有)という考え方で,あらゆる存在を生み出す根底にアーラヤ識(阿頼耶識)を設定する。この識のなかに過去の業(ごう)の影響が種子(しゅうじ)として蓄えられ,これから現在,未来にわたって自己の心身と外的な自然界が生まれる。この識の汚れた種子を滅して清浄な種子で満たすために瑜伽行というヨーガ的な瞑想(めいそう)法を実践する。3~4世紀のインドでマイトレーヤ(弥勒(みろく)),アサンガ(無著(むじゃく)),ヴァスバンドゥ(世親)の三大論師によって体系化され,その伝統は中国の玄奘(げんじょう),慈恩大師基,日本の南都北嶺の法相宗(ほっそうしゅう)に連なる。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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