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文禄の役(ぶんろくのえき)

1592年(文禄元)4月,豊臣秀吉が明征服をめざして朝鮮に侵略した戦争(第1次朝鮮侵略)。朝鮮側では壬辰(じんしん)の倭乱とよぶ。これより先,秀吉は東アジア征服構想をたて,対馬の宗氏を通じて朝鮮に服属と明への先導を命じた。交易上,朝鮮と密接な関係にあった宗氏は,秀吉の日本統一を祝賀する通信使派遣によってその命令をすりかえたが,秀吉はこれを征明嚮導の服属使節と思いこみ,16万の兵を朝鮮に送った。これを予期しなかった朝鮮側は防戦したものの敗北を重ね,同年5月漢城(現,ソウル)が陥落,朝鮮国王は義州に難を避け,明の救援を仰いだ。日本軍は小西行長が平壌,加藤清正が咸鏡道まで侵入するなど朝鮮全域の支配をめざし,朝鮮農民から兵粮の徴発をした。しかし朝鮮各地での義兵決起,朝鮮官軍の立ち直り,李舜臣(りしゅんしん)の朝鮮水軍による日本軍の補給路遮断があり,明軍もいち早く朝鮮を救援した。ここに日本軍は武器・兵粮不足に陥り,攻守所を変えた。翌年1月7日李如松(りじょしょう)の率いる明軍は小西行長の拠る平壌を陥れ,漢城めざして南下したが,碧蹄館(へきていかん)で小早川隆景らの日本軍の反撃にあい,戦意を喪失した。このあと日明間で講和の機運がもちあがり,朝鮮側の反対をおしきって講和交渉が進められた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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