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菱垣廻船(ひがきかいせん)

江戸時代,大坂から江戸に下り荷を輸送した廻船集団。元和年間に和泉国堺商人によって運航された江戸への廻船が始まり。その後1694年(元禄7)に,商品独占の特権を与えられた江戸十組問屋仲間の支配下におかれた。十組は廻船建造・改修の資金援助,船具・積載量の立入検査,海難の調査と共同海損を行い,菱垣廻船の信用を高め,隆盛をもたらした。元禄年間には260艘を数えたというが,のち樽(たる)廻船や,近世後期に輩出する新興廻船集団に押され低迷する。幕府はこれに危機感をもち,菱垣廻船一方積(いっぽうづみ)や紀州廻船の強制編入などの措置をとったが,劣勢は挽回できなかった。名称は,十組専用船であることを誇示する垣立(かきだつ)の菱組格子(ひしくみこうし)による。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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