烽(ほう)

「とぶひ」とも。煙火による緊急連絡手段,またそれを放つための施設。烽火(ほうか)・烽燧(ほうすい),のちには狼煙(のろし)ともいった。おもに軍事に用いる。弥生時代から存在したが,律令では成文で規定された。40里(約21km)ごとに烽をおき,信号のあげ方,材料の製法,信号を誤った場合の措置などを規定し,烽長(ほうちょう)の管理下で烽子(ほうし)を使役し運用にあたることになっていた。都の周辺や西海道,出雲・隠岐などの諸国でその存在が確かめられる。799年(延暦18)大宰府管内を除き廃止され,その後部分的に復活されたこともあるが,統一的な烽制はやがて衰えた。しかし緊急の通信手段として,軍事的用途を中心として後世まで広く用いられた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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