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南北朝正閏論(なんぼくちょうせいじゅんろん)

南北朝時代の南朝と北朝のどちらが正統かという議論。両朝は自己の正統性を主張したが,南朝側の北畠親房が著した「神皇正統記(じんのうしょうとうき)」や「太平記」の影響は強く,南朝が消滅して皇統が北朝に一本化された後も影響力をもった。江戸時代には,儒教思想にもとづく南朝正統論が強くなった。水戸藩の「大日本史」や新井白石の「読史(とくし)余論」などは南朝を正統とする。幕末には南朝正統論は武家政権を否定する議論となり,幕府を脅かした。維新後,学界では南北朝並立説が主流だったが,1911年(明治44)以後政府は歴史教育に介入し,45年(昭和20)の敗戦まで南朝を正統とした。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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