1. 中華人民共和国(ちゅうかじんみんきょうわこく)

中華人民共和国(ちゅうかじんみんきょうわこく)

中華人民共和国は,1949年10月1日に建国が宣言された。中国共産党が45年8月の日中戦争終結後に本格化した全国政権をめぐる国民党との内戦に勝利して,中華民国に代わって建国された。建国準備段階では,「中華人民共和国」だけでなく,「中華人民民主共和国」や「中華人民民主国」が国名として提案されるとともに,国名の略称として国民党が政権を担ってきた「中華民国」を使用してもよいとの意見もあった。しかし,新中国が「労働者階級が指導し,労農同盟を基礎とする」国家であり,その政治体制である「人民民主独裁」を代行する共産党の指導を徹底するために,「中華人民共和国」が正式に採用され,「中華民国」の使用が禁止された。中華人民共和国は建国以来,一貫して中国共産党が唯一の政権党として統治している。共産党は一方で1840年のアヘン戦争以来の近代中国がめざしてきた失地回復の愛国主義を実現する新中国の国家建設を目標とするとともに,他方で過去の革命遺産の保持と共産主義社会の実現を目標に掲げ,中華人民共和国は両者の間で動揺し続けてきた。1966年から76年の文化大革命は,まさにこうした動揺の象徴であり,今では「悲惨な内乱」と否定されるのである。78年以来,中華人民共和国は革命から「現代化」建設への劇的な路線転換を図り,経済発展を「一つの中心」として最重要課題にし,そのために改革・開放政策を実施してきた。従来の統制・計画経済を「硬直した社会主義」と否定し,共産党指導の堅持を除けば,資本主義そのものといってよい「社会主義市場経済体制」の全面確立をめざしている。その延長線上で,2050年前後の「中華民族の偉大な復興」の実現が繰り返し語られるのである。「中華人民共和国」はその意味では,国民党の創始者である孫文が1912年に建国した「中華民国」の継承国家であるといってよい。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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