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エジプト

ナイル川下流域,世界最古の文明の発祥地の一つ。ナイルの定期的洪水による灌漑で豊かな農耕文化が栄えた。前3000年頃から前332年までに計31の王朝が興廃した。初期王朝期(第1~2王朝)に統一王国が形成され,第3~6王朝の古王国期には絶対君主制的中央集権のもと,巨大なピラミッド,神殿が造営された。王権の弱まった第1中間期(第7~10王朝)をへて中王国期(第11~12王朝)に再び統一を回復したが,第2中間期(第13~17王朝)にはヒクソスの侵入を受けた。外敵を駆逐した第18王朝に始まる新王国期(~第20王朝)には対外出兵を繰り返し世界帝国となったが,末期王朝期(第21~31王朝)以降王権は衰退。異民族の支配を受け続け,ローマ帝国期には住民もキリスト教化した。639年アラブが侵入しイスラーム化が進展。9世紀後半にはトゥールーン朝のもとで自立し,十字軍とも戦った。1798年にはナポレオンのエジプト遠征を受けたが,1805年以降総督ムハンマド・アリーのもとで富国強兵政策を推進。69年にはスエズ運河も開通したが,財政が破綻し,76年以降英仏による二重管理を受けるなかで,初の民族運動アラービーの反乱が高揚した。以後はこれを鎮圧したイギリスが支配者となったが,民族運動に圧倒され,1922年エジプト王国を名目的に独立させる。52年ナセルによるエジプト革命が勃発。帝国主義支配の支柱であった王制を倒し,53年共和国となった。その後はスエズ運河の国有化も勝ち取って名実ともに独立し,58年にはシリアと合邦。アラブ連合を発足させたものの,61年シリアが離脱し,67年の第3次中東戦争にも惨敗した。70年代以降親米路線に転じ,79年にはイスラエルと平和条約を結んでいる。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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