1. 旧約聖書(きゅうやくせいしょ)

旧約聖書(きゅうやくせいしょ)

Old Testament 本来,前10世紀から前1世紀の間に書かれたイスラエル,ユダヤの文献のうち,ユダヤ教の聖典としてまとめられたもの。キリスト教もこれを聖典の一部として採用し,新約聖書に対して旧約聖書と呼んだ。旧約聖書の原本であるヘブル(ヘブライ)語正典は1世紀末頃,最終的に決定され,39の文書から構成されることになり,三つのグループにまとめられている。すなわち第一は律法(トーラー)で,旧約聖書冒頭の5書(創世記,出エジプト記,レビ記,民数記,申命記)の総称である。この律法の起源はモーセが神から授けられたものとし,実際には前10世紀頃以来,現代の学者がヤハウェ資料(J),エロヒム資料(E),申命記資料(D),祭司法典(P)などと呼ぶ資料がいく度か編纂されて,現存の形態をとるようになった。第二は預言(ナビーム)で,このなかには歴史書(ヨシュア記,士師記,サムエル記,列王記)と本来の預言書(イザヤ書,エレミヤ書,エゼキエル書および12小預言書)が含まれている。第三は諸書(ケスビーム)または聖文集と呼ばれるもので,律法や預言に比べると一段低いものと考えられている。ヘブル語原典の順序では詩編,ヨブ記,箴言(しんげん),ルツ記,雅歌,伝道の書(コヘレトの言葉),哀歌,エステル書,ダニエル書,エズラ書,ネヘミヤ記,歴代誌であるが,現代語訳(日本語訳をも含めて)の順序は,前3~前2世紀頃エジプトのアレクサンドリアでつくられたギリシア語「七十人訳聖書」にならっている。旧約聖書の聖典化は,70年のイェルサレム神殿破壊後のユダヤ教の性格を決定づけ,キリスト教による採用はヤハウェ神教の継受と止揚を意味した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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