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領主(りょうしゅ)

lord[英],seigneur[フランス],Herr[ドイツ] 中世ヨーロッパの土地支配者。小作人との自由な経済的契約関係によって所有地を農業経営する近代的な地主とは異なり,一般に農奴と呼ばれる不自由身分の保有農を人身的に支配しながら,所領を経営する者。その所領は,封建制の封土として主君‐家臣間で授受されたので,封建領主とも呼ばれる。領主による農民支配は重層的である。領主は,土地領主権にもとづいて支配する農民から賦役労働や貢租を徴収するだけでなく,経済外的強制とも呼ばれる身分制的支配を行って,農奴としての農民に人頭税,領外婚姻税,死亡税(マンモルト)を課し,彼らの移動や結婚,相続を制限した。さらに,バン(罰令)権と呼ばれる領域的な城主裁判権を保有する有力領主の場合には,自身の所領を超えた支配領域の農民に対しても,裁判を行い,対外防衛や対内秩序維持を名目として保護税や通行税を課し,製粉水車やパン焼き竈(かまど)などの領主保有施設の使用強制を行った。16世紀以降には,領主の法的支配の性格が弱まり,特権的な各種貢租を徴収するだけになっていった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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