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ドイツ民主共和国(ドイツみんしゅきょうわこく)

Deutsche Demokratische Republik 1949年,ドイツの西側に成立したドイツ連邦共和国に対抗する形で東のソ連占領区に成立し,90年まで存続した分断国家。東ドイツと略称される。建国時の憲法は,権力分立を否定し,人民議会を「共和国の最高機関」と規定しつつも,ヴァイマル憲法を模範として自由民主主義的要素を残した。しかし支配政党のドイツ社会主義統一党(SED)は,経済計画や農業集団化によって社会主義経済の建設を進める一方,連邦制を廃止し(52年),国家保安省(シュタージ)など国家機構を集権化して権力の集中を進めた。60年代にはSED書記長ウルブリヒトが,大統領職の代わりに設置された国家評議会の議長を兼ねたほか,68年の憲法は,マルクス‐レーニン主義政党であるSEDの指導的立場を明記するに至った。71年,ホーネッカーが書記長となって社会政策を拡大したが,文化の領域に至るまでSEDが体制支配を貫徹する点では変わりがなかった。硬直した体制は,ソ連,東欧社会における民主化の動きに対応できず,市民運動によって崩壊し,90年に西ドイツに編入された。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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