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安房国(あわのくに)

東海道の国。現在の千葉県南部。「延喜式」の等級は中国。古くは上総国に属したが,718年(養老2)4郡をもって安房国となし,741年(天平13)再び上総国に合併,757年(天平宝字元)再度安房国となる。「和名抄」では平群(へぐり)・安房・朝夷(あさひな)・長狭(ながさ)の4郡からなる。国府は平群郡(現,南房総市),国分寺は安房郡(現,館山市)におかれた。一宮は安房神社(現,館山市)。「和名抄」の所載田数は4335町余。「延喜式」では調は布・鰒(あわび),庸は海松(みる)・布があり,中男作物として紅花・堅魚(かつお)・鰒など。平城京跡から多くの鰒貢進の木簡が出土する。平安中期には平忠常の乱により荒廃。石橋山の戦に敗れた源頼朝が上陸した。鎌倉時代には安西・丸氏らが支配した。日蓮の生国として知られる。室町時代には上杉氏が守護となり,のち里見氏が支配したが,国府台(こうのだい)の戦で後北条氏に敗れ,以後衰退。1614年(慶長19)里見氏は転封され,以後譜代小藩が分立,旗本領・幕領もあった。1871年(明治4)廃藩置県により木更津県に入り,73年千葉県に属した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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