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吾妻鏡(あずまかがみ)

1180年(治承4)の源頼政の挙兵から1266年(文永3)の宗尊(むねたか)親王の京都送還までの鎌倉幕府の歴史を編年体で綴った歴史書。近世以降「東鑑」とも。完成した書か,未完のものか明らかでない。源氏3代と摂家将軍・宗尊親王の時期との記述形式が著しく異なっていることから,14世紀初頭成立説と,源氏3代の前半部を文永年間,のちの3代を14世紀初頭とする2段階説がある。完本として残るものはなく,大内氏の武将右田弘詮が20年にわたって諸本を収集して復元した吉川本,1404年(応永11)に金沢文庫本から書写したことを本奥書に記す後北条氏伝来の北条本,二階堂氏伝来の島津家本などがある。室町時代に「吾妻鏡」から抄出した記録も多く,「山密往来」紙背の元暦年間の記録を抄出した前田本や1187年(文治3)から1226年(嘉禄2)までの記録を抄出した「文治以来記録」などがある。近世に入ると,北条本を底本とした寛永版本,その不足分を島津家本から補った「吾妻鏡脱漏」が出版され,明治中期までの流布本となった。明治に入ると,黒板勝美が北条本を底本として諸本と校合した国史大系本を編んだ。文体は,吾妻鏡体とよばれる和風漢文。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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