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東歌(あずまうた)

「万葉集」巻14に収録される238首(うち8首が或本歌)の歌をおおう標題。勘国歌(国名判明歌)95首と未勘国歌(国名不明歌)143首からなり,それぞれ相聞(そうもん)・譬喩(ひゆ)歌などに分類されるが,うち相聞歌が8割以上を占める。すべて作者未詳。労働・土俗・性愛の表現に特徴があり,東国方言的要素(ただし音韻上の現象に偏る)を含む。また全歌が短歌形式に整えられていること,序詞(じょことば)をもつ歌や地名を含む歌が他に比べ多いこと,表記は1字1音を原則とするが整理者の統一の痕跡が著しいこと,中央の歌と用語や発想の共通性がみられることなどが指摘されている。東歌の特性を民謡性にみるか非民謡的性格を重視するかが,研究史上の争点となっている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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