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アジール

ドイツ語Asylで聖域を意味し,避難所・平和領域などとも訳される。アニミズムが支配的だった原始社会では,自然のなかの神々が宿る,また神々が出現すると考えられた森・山・河原,さらには巨木・巨石などのある空間がアジールであった。この自然のアジールはその後も継承されるが,同じ観念のもと,社会発展のなかでアジールは再生産され,神殿,寺院,王の居所,市場や,先祖の魂が宿るとされた屋敷などが不可侵の聖域とされた。中世社会ではこうしたアジールがいたるところに存在し,犯罪人・奴隷・負債人の避難所となっていたが,戦国期に入ると,アジールは俗権力によってしだいに否定・制限され,江戸時代には駆込寺(かけこみでら)・縁切寺などにその姿を残すのみとなった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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