1. 用語
  2. 日本史 -あ-
  3. 字(あざな)

字(あざな)

男子が元服したのち,実名(じつみょう)以外につける別名・通称。本来は中国でおこった風習。実名を知られるのを忌み嫌うという思想にもとづいて,実名をよぶことを不敬と考え,一般には字を通用させるようになった。その際,実名となんらかの関連のある文字が字として選ばれた。また,目上の人に対して字を用いることはせず,公文書に署名する際も実名を記すものとされていた。この風は日本の律令官人層にまず導入され,日本では苗字の1字と連称することが流行した。しかし日本の律令官人の字は中国のそれとは違い,儀礼的で生活に密着しなかったため,平安末~鎌倉時代には廃れた。それと入れ替わるように,禅僧の間で法名の上に2字の字を連称する風が導入された。近世に入ると,儒者や文人の間で字を用いる風が広まった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう