悪党(あくとう)
鎌倉後期~南北朝期に公武政権や荘園領主に敵対し,各地で蜂起した集団のこと。畿内やその周辺では荘園領主の力が強く,在地の武士の成長が押さえられた。荘園領主の支配に抵抗して年貢や公事(くじ)を納めない武士は訴えられ,悪党として幕府の検断の対象となった。夜討・強盗・山賊・海賊などは悪党の典型的な行動とされるが,商売や金融上のいざこざにもとづくものも少なくなかった。西国武士があわせもっていた商工業者,金融業者,交通・運輸業者などの側面が,まだうまく支配体系のなかに編成されていなかったことが悪党発生の一因。14世紀後半,都市や分業が発達し,悪党が荘園領主の代官や守護の被官などに組織されるようになると消滅した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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