アイヌ

日本列島の古くからの住人で,アイヌ語を母語とし,アイヌ文化のもとに同族意識をもっている人々およびその子孫をいう。文化的には北海道アイヌ・樺太(からふと)アイヌ・千島アイヌに分類できる。狭義には北海道に居住する北海道アイヌをさす。日本国内の少数民族であるため,政治的・社会的・文化的に多くの不利益な扱いをうけてきた歴史をもつが,近年は,失われた権利の回復と言語・文化の復興をめざしてさまざまな活動を行い,アイヌ新法制定運動はその大きな核となっている。往時は狩猟・採集が生業で,コタン(村)を単位とする社会生活を営んでいた。アイヌとは神に対しての「人間」であり,女に対しての「男」の意。近世文書には蝦夷(えぞ)と記されるが,アイヌと思われる「蝦夷」を記した初見は1356年(延文元)成立の「諏訪大明神絵詞」である。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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