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朝貢貿易(ちょうこうぼうえき)

進貢(しんこう)貿易とも。前近代のアジアにみられる貿易形態。朝貢とは藩属国が宗主国に対して使節を派遣し,土産の物を献じて君臣の礼を表明する政治的儀礼のこと。藩属国の使節による進貢物に対し,宗主国は返礼として回賜(かいし)物を給付した。朝貢には回賜がともなうため,これを一種の貿易とみなして朝貢貿易とよぶ。宗主国はみずからの徳を示すため,進貢物をはるかにこえる回賜物を与えるのが通例で,藩属国は莫大な利益をえた。中国の歴代王朝は,朝鮮・日本など周辺諸国との間に冊封(さくほう)関係を結び,それらの国の王から中国皇帝に対する朝貢がしばしば行われた。明の太祖洪武(こうぶ)帝は,周辺諸国の主権者を国王に封じ,その国王の名義で派遣する使節だけに貿易を許可し,それ以外を密貿易として禁止した。狭義には,進貢・回賜をさして朝貢貿易とよぶが,多くは商人である使節の随伴者の付帯貨物を中国政府が買いあげることも含めていう。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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