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筑前国(ちくぜんのくに)

西海道の国。7世紀末に筑紫国が前後にわかれて成立。現在の福岡県主要部。「延喜式」の等級は上国。「和名抄」では怡土(いと)・志摩・早良(さわら)・那珂・席田(むしろだ)・糟屋(かすや)・宗像(むなかた)・遠賀(おか)・鞍手(くらて)・嘉麻(かま)・穂浪・夜須(やす)・下座(しもつあさくら)・上座(かみつあさくら)・御笠(みかさ)の15郡からなる。国府と国分寺・国分尼寺は御笠郡(現,太宰府市)におかれた。一宮は住吉神社(現,福岡市博多区)。「和名抄」所載田数は1万8500余町。「延喜式」では調庸は布帛や海産物のほか席・甕・塩など,中男作物は薦や海産物。大陸からの文物輸入の門戸にあたるため,弥生時代の板付遺跡,古墳時代の沖ノ島祭祀遺跡,那津官家(なのつのみやけ)跡とされる比恵(ひえ)遺跡や,大宰府史跡,鴻臚館(こうろかん)跡,膨大な輸入陶磁器を出土した博多遺跡群など重要遺跡が多い。「魏志倭人伝」の奴国(なこく)・伊都国などの故地でもある。奈良時代には大宰府府官が国務兼帯することもあったが,平安時代には分離した。鎌倉時代以降は少弐(しょうに)(武藤)氏が守護になることが多かったが,一時今川了俊,戦国期には大内氏が守護になり,大友,ついで小早川氏の支配期をへて福岡藩になる。1871年(明治4)廃藩置県により福岡県となる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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