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知行(ちぎょう)

中世~近世,土地を支配し,そこから収益をあげることをさす語。古代では仕事や職務を執行する意味だったが,古代末期に荘園制が成立し,職務とそれにともなう特権や収益を一体視する「職(しき)」の秩序が一般化すると,「職」の知行が所領を支配し,収益をあげる意味で多用され,中世の土地支配・土地所有を表現する語として重要視されるようになった。中世の知行の法学的説明としては,占有とみる説や,ゲルマン法のゲベーレと同じく権利と占有の未分離状態の表現とする説など,諸説対立する。中世では現実に知行していることを当知行,知行を失った状態を不知行とよび,「御成敗式目」8条で,20年以上当知行を続けた者を保護する法も定められた。鎌倉後期以後,荘園制の崩壊にともなって「職」の知行から土地自体の知行へとむかう傾向が強くなり,守護や戦国大名は家臣に土地自体を知行としてあてがうようになった。近世では,将軍から領地を与えられた大名は,これを「領知」するといい,大名から知行地や蔵米を与えられる家臣は,これを「知行」するとよんだ。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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