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円仁(えんにん)

生没 794~864.1.14 慈覚(じかく)大師とも。平安前期の天台宗僧。俗姓壬生(みぶ)氏。下野国都賀(つが)郡生れ。はじめ関東で広智(こうち)につき,ついで広智にともなわれ比叡山に上り最澄(さいちょう)に師事。受戒後,最澄と東国巡行。また如法経の行儀を確立し比叡山に横川(よかわ)(首楞厳(しゅりょうごん)院)を開いた。838年(承和5)入唐。天台教観を学び,また揚州開元寺の全雅(ぜんが),長安大興善寺の元政(げんせい),青竜寺の義真(ぎしん)らから密教を受法。五台山に巡礼し,常行三昧(じょうぎょうざんまい)の基となる法照流念仏を学んだ。武宗の会昌(かいしょう)の廃仏(845)をきりぬけて847年帰国。天台教学を密教の一翼に位置づけ,真言宗に遅れをとっていた密教法門を確立。比叡山のおもな行業の多くを整備し,854年(斉衡元)第3世天台座主となる。著書「金剛頂経疏(こんごうちょうきょうしょ)」「顕揚(けんよう)大戒論」「入唐求法(にっとうぐほう)巡礼行記」。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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