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風呂(ふろ)

壁で囲まれた部屋を表すムロ(室)に由来する語という。日本の風呂は,古くは発汗を目的とする医療施設で寺院などに付設され,蒸気浴を主とする蒸風呂であった。これを石風呂・竈風呂(かまぶろ)などとよび,湯を使う風呂は湯屋とよばれた。湯屋は,別に沸かした湯を湯槽(ゆぶね)にいれて使うもので,膝くらいまでの湯をいれ蓋をかぶせて入る,半蒸半浴式の風呂もあった。江戸中期以降になって現在の据風呂(すえぶろ)の形式が普及した。農家の風呂は,残り湯を堆肥用に使うため,厩(うまや)や便所の近くに作られた。各家庭に風呂が作られるようになるのは近年のことで,貰い風呂やモヤイ風呂などの習俗が広くみられた。端午(たんご)の節供の菖蒲湯(しょうぶゆ)や冬至(とうじ)の柚湯(ゆずゆ)の習俗は,現在も広く行われる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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