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夫役(ぶやく)

「ふやく・ぶえき」とも。賦役とも。中世~近世の人身的労役の総称。荘園公領制では,租の系譜をひく年貢に対し,調庸(ちょうよう)および雑徭(ぞうよう)の系譜をひく課役を公事(くじ)とよび,そのうち雑公事以外の,雑徭や歳役などの系譜をひく労役のことを夫役という。近世では人足役の別称として用いられた。中世の夫役には,荘園領主の在住する京に物品などを運び,雑用も勤めた京上夫,同じく公事物などを運んだ若菜夫・吉書夫などの運搬関係の労役があった。荘園領主のもとで使役されるものには,兵士役,宿直役,雑用一般に従事する仕丁などがあり,荘園現地では佃(つくだ)の耕作や杣(そま)役・炭焼夫・草刈夫などの労役があった。地頭からも京上夫などが課された。中世後期以降には,守護・国人や戦国大名,近世の大名・旗本などからも,軍陣で多様な雑用に従事する陣夫役や,軍夫,城郭の築造,河川・用水・道路の建設や修復などに駆り出された人夫役(人足役)など,多様な夫役が課された。夫役は人別に賦課されて労役奉仕させられるのが原則だが,中世においては労役忌避などで人別賦課が困難になると,田率や銭納でも課されるようになった。また近世では,人足数や石高を基準とする代銭納が広範にみられた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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