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仏所(ぶっしょ)

仏像を製作する工房,あるいはそこに所属する仏師の組織をいうが,ふつう奈良時代に設置された官営の造仏所とは区別され,平安中期以降に成立した私営のものをいう。10~11世紀に活躍した康尚(こうじょう)の事績にうかがうことができ,その頃に成立したものと思われるが,その背景には貴族たちの造仏の需要の増大がある。仏像の製作はふつう大仏師に複数の小仏師が従って行われ,仏所の構成もそれに近かったと考えられるが,仏所が成立した10世紀末頃は共同作業に適した寄木造(よせぎづくり)が発達した時期でもあり,両者はたがいに刺激しあいながら展開していったものと思われる。仏所には三条仏所・七条仏所・椿井(つばい)仏所などがあり,近世に至るまで存在した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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