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仏教伝来(ぶっきょうでんらい)

仏教の日本伝来はおそらく6世紀以前,渡来人系氏族による信仰にさかのぼるであろうが,百済(くだら)の聖明王から欽明天皇への釈迦像や経論(きょうろん)の送遣といういわゆる公伝の時期に関しては,欽明13年壬申(じんしん)(552)とする「日本書紀」と,同7年戊午(ぼご)(538)とする「上宮聖徳法王帝説」「元興寺伽藍縁起并流記資財帳」との2説がある。しかし前者は「金光明最勝王経」にもとづく作文であるとか,釈迦入滅後1501年目の入末法(まっぽう)の第1年あるいは造寺堅固の第1年にあてたものとされ,後者もまた戊午革運説によるものとされるなど,いずれも決定的な根拠を欠く。当初は聖徳太子や蘇我氏などの有力豪族によって積極的に受容されたが,彼ら崇仏派もそれと対立した物部氏らの排仏派も,その理解の仕方は本質的に異なるものではなかった。たとえば仏は蕃神(ばんしん)とよばれ,日本の神に対する異国の神と理解され,それゆえよく祭祀すればさまざまな災害を防ぎ治病や延命に効験があると信じられた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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