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府中藩(ふちゅうはん)

対馬(つしま)藩とも。対馬国府中(現,長崎県対馬市厳原(いずはら)町)を城地とする外様中藩。藩主は中世以来の島主宗氏で15代にわたる。豊臣秀吉の九州平定後,対馬国一円を安堵され,朝鮮国王の来日斡旋を依頼された。朝鮮との関係悪化を恐れた宗氏は戦争回避に努めたが,1592年(文禄元)の朝鮮出兵の際は,島主の義智(よしとも)にも出陣が命じられた。関ケ原の戦では岳父小西行長との関係で西軍についたものの,戦後徳川家康から旧領を安堵され朝鮮国との国交修復に尽力した。その過程での国書偽造がのちに発覚し,家老柳川調興(しげおき)らが幕府から処分された(柳川一件)。藩領は対馬1国のほか肥前3郡・筑前1郡・下野2郡など。朝鮮通信使の迎接をはじめ,朝鮮との外交・貿易関係の業務を独占的に担い,10万石以上格を与えられた。朝鮮人参を大坂・長崎・江戸で独占販売するなど,朝鮮との外交貿易の特権を利用し,経済的基盤を補完したが,中期以降は貿易不振による財政難から幕府の援助をたびたびうけた。家臣団の一部が郷村に住む在郷給人制をとる。詰席は大広間。藩校は思文館・日新館など。1869年(明治2)府中を厳原と改称。廃藩後は厳原県となる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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