豊前国(ぶぜんのくに)
西海道の国。現在の福岡県東部と大分県北部。「延喜式」の等級は上国。「和名抄」では田河・企救(きく)・京都(みやこ)・仲津・築城(ついき)・上毛(かみつみけ)・下毛(しもつみけ)・宇佐の8郡からなる。国府は「和名抄」では京都郡(比定地に3説ある)とされるが,国分寺(現,福岡県みやこ町)とともに仲津郡(現,みやこ町)にあったとする説も有力。一宮は宇佐神宮(現,大分県宇佐市)。「和名抄」所載田数は1万3200余町。「延喜式」では調庸は綿・絹・烏賊(いか)など。7世紀末に豊国(とよのくに)が前後にわかれて成立。瀬戸内海に面し,早くから畿内文化の影響をうける一方,渡来人の活動も目立つ。英彦(ひこ)山・求菩提(くぼて)山・御許(おもと)山などで修験道が展開,宇佐神宮・弥勒寺は広大な荘園をもった。守護は武藤(少弐(しょうに))氏,のち北条氏一門,その後大内氏,さらに大友氏となる。江戸時代には小倉藩・中津藩が成立,幕領も多かった。1871年(明治4)の廃藩置県の後,小倉県となり,76年福岡県に合併。同年宇佐郡・下毛(しもけ)郡は大分県に編入。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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