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藤原京(ふじわらきょう)

持統天皇によって造営された初の本格的都城。現在の奈良県橿原市およびその周辺。「日本書紀」には690年(持統4)以来,同京の地鎮,官人への宅地班給など,新京造営にかかわる記事がみえる。694年に持統天皇が遷御し,ふつうこの時をもって藤原京の成立とし,以後710年(和銅3)まで存続した。「日本書紀」などには「新益京(しんやくのきょう)」とみえる。京域については,藤原宮(宮跡は国特別史跡)の発掘成果をふまえた岸俊男説が基本。それによれば,規模は東西4里(1里は約530m),南北6里で,北辺が横大路,東辺西辺が中ツ道・下ツ道,南辺が上ツ道(山田道)によってくぎられ,左右京には各12条4坊の条坊制が施行されていた。文献では平城京のような数詞による条坊表示はみられないが,小治町・林坊のように,固有名詞を冠した坊名が知られている。京内では本薬師寺・大官大寺などの発掘調査も行われ,その占地が条坊地割と合致していることから,同京の計画も薬師寺創建に先だつ天武朝末年には構想されていたと考えられる。近年の発掘では,藤原宮内に条坊道路とみられる遺構や,推定された京域の外部にも直線道路の遺構が発見されており,それらを含んだ「大藤原京」とよばれる復原計画が提起されている。京跡は国史跡。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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