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藤ノ木古墳(ふじのきこふん)

奈良県斑鳩(いかるが)町法隆寺にある古墳後期の円墳。金銅製服飾具と,きわめて精巧な馬具など豊富な副葬品を出土したことで著名。法隆寺の西方350mの丘麓にあり,墳丘は裾部分がわずかに削られているものの,現状で直径約48m,高さ約9mあり,円筒埴輪をめぐらしていた。墳丘の中央に南東にむかって開口する両袖式の横穴式石室があり,全長14m,玄室は長さ6m,最大幅2.7m,高さ4.3m,羨道(えんどう)は長さ8.3m,幅2m,高さ2.4mで,塊石を用いて閉塞していた。石室奥壁の近くに縄掛突起をもつ家形石棺があった。石棺は凝灰岩製で全面に赤色顔料を塗布。棺内には人骨2体があり,画文帯神獣鏡など鏡4や金銅製冠・筒形金銅製品・銅製大帯・金銅製飾履(しょくり)・剣菱(けんびし)形銀製品などが,多数のガラス玉・空玉(うつろだま)・耳輪と布帛をともなって副葬されていた。棺外出土の馬具は,鞍金具に亀甲繋文(きっこうつなぎもん)と竜・鳳凰・虎など各種動物文をパルメット文とともに配し,杏葉(ぎょうよう)・鏡板(かがみいた)などがあり,東アジアでも第一級の製品。国史跡。出土品は国宝。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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