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武士道(ぶしどう)

近世以降の武士階級独特の倫理。新渡戸稲造(にとべいなぞう)の英文著作「武士道」に代表されるように,武士の道徳そのものをさす言葉として一般化するのは近代に入ってからである。近世ではまだ道徳論の段階であり,戦国期以来の武士の道徳を儒教の論理で裏づけようとする士道論と,その武的な余習を継承しようとする武士道論があった。前者の代表が山鹿素行(やまがそこう)「山鹿語類」の「士道篇」であり,君臣ともに儒教倫理にもとづく振舞いを是とした。後者の代表が山本常朝(つねとも)「葉隠(はがくれ)」で,「武士道とは死ぬ事と見付たり」の言葉が象徴するように,主従関係を中心に善悪・正不正をこえた捨身を強調した。しかし,根底では通じるものがあった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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