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富士講(ふじこう)

富士山への参拝を目的とした信仰集団。富士山は原始信仰の段階から信仰の対象とされ,室町時代には登山によって祈願する登拝も行われ,長谷川角行(かくぎょう)により講も組織されたと伝える。江戸時代になると,御師(おし)の活動などで富士登拝が一般化し,中期には村上光清派と食行身禄(じきぎょうみろく)派にわかれて布教が行われたが,しだいに後者が優勢となった。身禄派は,飢饉などの社会不安が続くなかで現世利益を説き,救世や平等的考えを主張,尊王思想とも結びついて講を拡大した。このため幕府は富士登山の禁令をいくたびも出して統制。明治期以降,この思想は実行教・扶桑(ふそう)教などの新興宗教に継承された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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