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福富草紙(ふくとみそうし)

室町物語の庶民物。絵巻。2巻。作者不詳。京都妙心寺春浦院蔵絵巻(重文)の箱の表書きに「土佐伊予守隆成筆,後崇光院宸翰」とあり,貞成(さだふさ)親王(1372~1456)以前の成立か。五条付近に住む貧しい高向(たかむこ)秀武は道祖神に祈り,放屁(ほうひ)で祝言を唱える芸を身につける。中将に放屁の芸を披露した秀武は褒美をもらい長者になる。隣に住む福富も秀武に放屁の芸を習い,中将の前で放屁の芸をみせるが失敗し,さんざん打ちこらされる。人々に嘲笑されながら血まみれでもどる姿を,褒美の赤い小袖を着て人々に送られたものと勘違いした妻は,古着を焼いてしまう。やがて妻は夫の失敗を知り,秀武にかみつく。「福富長者物語」は本物語の影響下になる。「日本絵巻大成」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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