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武悪(ぶあく)

雑狂言。主人は従者の武悪の不奉公を怒り,太郎冠者にその成敗を命じる。太郎冠者は主人の太刀をもって武悪の家を訪ねる。武悪は武芸にすぐれるため,主人に魚を進上するよう勧め,武悪が川で魚を捕っているときだまし討ちにしようとする。しかし情にほだされて逃がしてやり,主人には命をはたしたと偽って報告した。その後,主人一行が東山にいくと武悪が現れた。太郎冠者は場をとりつくろい,火葬場の鳥辺野(とりべの)になぞらえ,武悪に幽霊に化けてこいという。中入り後,武悪は主命に背いて苦しむ幽霊を装い,あの世で主人の父に会ったと偽り,言葉たくみに刀や扇を巻きあげ,主人を追い回す。前半の深刻さと後半の明るさの対比がきいた名作。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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