番頭(ばんとう)
�@畿内周辺地域の荘園でしばしばみられる下級荘官の一つ。荘園の徴税機構で一般的なのは名(みょう)だが,平安末期以後これを再編成して,月ごとの公事(くじ)をさらに賦課しやすくすることがあった。これが番で,再編の行われた荘園を番頭制荘園という。番には既存の名を組み合わせる場合と,名を分割して再編する場合がある。また各番の面積も,均等になるよう組み合わされた場合と不均等な場合があったが,いずれも各番の徴税責任者として番頭がおかれた。番頭は有力な名主から選ばれ,番頭給や番頭免が与えられた。室町時代になると村落指導者層として,惣村自治の主要な担い手となった。�A江戸時代,商家奉公人のうち職階制で最上位に位置し,大店では支配人などとも称された。丁稚(でっち)から手代(てだい)をへて長年勤めあげてきた子飼いの奉公人で,手代以下を統轄して商売全般を差配するとともに,家政の大半も主人から任される場合が多い。大店では,別家を許されて宿持となり,主家に通勤して終身奉公するが,中小の商家では主人から資本や顧客を分与されて独立する場合もあった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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