伴大納言絵巻(ばんだいなごんえまき)
平安後期の絵巻。866年(貞観8)3月におきた応天門の火災をめぐる大納言伴善男(とものよしお)の陰謀と失脚を描く。上中下巻にわかれているが,もとは1巻の長大な絵巻であった。柔らかく的確な描線で人物の姿態や表情を描くとともに,群衆の動きを巧みにとらえる。洗練された技法は宮廷の絵所様式を伝え,すぐれた構成力と群衆描写が「年中行事絵巻」(模本)と共通するところから,常磐(ときわ)光長の作と推定される。中世より若狭国新八幡宮に伝わり,小浜藩主酒井家をへて,現在,出光美術館蔵。紙本着色。縦31.5cmで,横は839.5cm(上巻),858.7cm(中巻),931.7cm(下巻)。国宝。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
この記事が気に入ったらいいね!しよう