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鉢かづき(はちかずき)

室町物語の公家物。昔話「姥皮(うばかわ)」説話をもとにした観音霊験譚。作者不詳。室町時代に成立。「御伽草子」の一編。河内国交野(かたの)の備中守実高は,長谷観音に願をかけ姫を授かる。姫が13歳のとき母は病にかかり,死の間際に姫に鉢をかぶせる。継母に憎まれ野に捨てられた姫は,中将家の湯殿の火焚きに雇われる。中将の4番目の子宰相は姫を見初め契りを結ぶが,宰相の母親は2人をわかれさせようと嫁くらべを行う。2人が悲嘆にくれていると鉢が落ちて美しい容貌が現れ,衣装など宝がでてくる。姫は嫁くらべに勝ち,宰相は惣領となる。のち宰相と長谷観音に詣でた姫は,修行者となっていた父実高と再会する。「日本古典文学全集」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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